正すべきはどこ?

正すべきはどこ?

この記事は移転前のブログで2013年1月11日に書いたものです。

日本原電、発電せず最高益 電力5社から760億円 電気料金にツケ 今年度上半期
- 朝日新聞デジタル http://t.asahi.com/9bur


今朝の朝日新聞の一面です。敦賀原発(福井県)などを持つ原発専業会社の日本原子力発電(本社・東京)が、原発を動かしていないにもかかわらず、電力会社から「基本料」として760億円ほど受けとっており、過去最高益を出す模様です。

これに対してTwitterをはじめ、インターネットでは怨嗟の声が飛び交っています。「値上げの料金の一部はココに流れているのか」「ナメとんのか」「おかしな話ですよ」「詐欺同然だろ」「国民全員で返還訴訟だな」などなど。


こういう出来事が起こるたび、日本人は後出しジャンケンが大好きだなーと感じます。


原発を止めろと声高に言っていたのは紛れもない国民自身です。その要望が叶って原発が止まったことによって、自分ではない他者にに利益が舞い込んできた。今度はそれに怒る。日本原電や電力各社は契約に基づいてカネを動かしているだけなのに。そしたら今度は「契約のときにこんな杜撰な内容で契約していたのか」という声が出てくるでしょう。

彼らはきっと廃炉が決まったらこう言います。「廃炉するのは当然だが、何故その費用が電気料金や税金に上乗せされなければならないんだ!?」



今読んでいるとある本で、似たような構造が見受けられました。「フリーター」という言葉に対するイメージの変遷です。今でこそ「フリーター」とは定職についていない、ふらふらした人間の代名詞として使われていますが、かつての「フリーター」は会社に縛られない、夢を追いかける素敵な人として取り上げられていました。そういう扱いをしていたのに、時代の変遷とともに後出しジャンケンのように価値を変容させていく。公務員バッシングも同じですね。昔は「好景気なのになんで公務員に(笑)」と言われていたのに、今では「公務員はお気楽だな。俺達はこんなに苦労しているのに(怒)」となっています。


問題が見えにくいだけで、何もアクションを起こしてこなかった人たちが、自分に対する不利益が表面化した瞬間にバッシングをするモンスターになる。そして、自分に都合のいいように他者を蔑み悪者としていく。

本当に正すべきはどこなんでしょう?そう思えるような記事でした。