リーダーシップ教育をどう取り入れるか

リーダーシップ教育をどう取り入れるか

この記事は移転前のブログで2013年3月12日に書いたものです。

リーダーシップを人が学ぶにはどうしたらいいのか。最近そういうことを考えます。リーダーシップは万人が持った方が良いものなのに、日本では必要性があまり語られないどころか「出る杭は打たれる」という諺のように、能力のある人ほど意味のない攻撃に晒されます。

時の内閣が支持率を右肩下がりで落としていくように、橋下徹大阪市長がポピュリズムと叩かれるように。あたかも「権力の暴走を止めている」と勘違いした輩が、責任を取ることのない安全な立場から文句ばかりを垂れ流します。
なにもこれは内閣や市長といった大きな権限を前提に行われることではありません。例えば職場内で、同僚の仕事ぶりに対して口を挟むことが多い人がいたら咎められるでしょう。会議で根拠もなく方向性が決まっているときに、理由を明示して反対意見を述べたら、たとえ意見が正しくとも嫌な顔をされるでしょう。学校で委員長などを進んでやろうものなら「やりたがりな奴」というネガティブなイメージを持たれるでしょう。

これらは、ひとえに「リーダーシップの不足」というひとつの事柄に起因します。その理由は、先日読んだ「採用基準」という本に詳しく書かれています。元マッキンゼーの社員だった方の著書ですが同意する部分が多かったです。何故万人にリーダーシップを求めるのか。それを知るには著書をお読みになることをオススメします。

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さて、ここからが本題です。どうやったらリーダーシップを若いうちから学べるようにできるのか。

まず、リーダーシップの必要性を説くだけでは、決してリーダーシップの浸透には繋がりません。リーダーシップとは、体験を交えて理解していくものです。


高校時代、部活においてリーダーシップを学びました。そのときは「主体性」という言葉で体系的に学ぶとともに、日々の練習で実践していきました。「長いミーティングがあるときは1人最低1回は発言をする」「日々の練習後のショートミーティングで発言が少ないと何も考えてない奴とみなされる」という暗黙のルールがありました。
座学で「主体性」という言葉や「矢印を自分に向ける」という言葉を聞いても正直「何ソレ?」という感じでした。練習は決められたメニューをするだけだし、面白味に欠けます。それでもミーティングでは発言しない奴はいらないという雰囲気だったので、何かしら言うことを考えなければなりません。最初はとても辛いものです。

ところが、最初は辛かった考えるという行為が、慣れていくにつれて楽しいものに変わっていくのです。1年生の頃は練習全体で1つ2つの意見しか思いつかないのに、2年生、3年生となるにつれて、細かいワンプレイごとに何かしら意見が出てくるのです。それも自然と。
そういった経験をしてから再び座学のリーダーシップを学ぶと、まるで点と点が線になるように、リーダーシップの重要性が頭のなかでスッキリと理解できるのです。


たまたま部活という場と、リーダーシップを理解している指導者に恵まれたからこういう経験ができたものの、普通に暮らしていてはリーダーシップを学ぶ機会はそう無いと思います。また、自分自身やチームメイトも、最初はこの指導者に抵抗感がありました。なんでこんなことをしなくてはいけないんだ、意味ないだろ、と。リーダーシップを学ぶことの意義について理解できるまで1年はかかりました。

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そのため、ある程度の拘束力を持って、小さな成功体験を積み重ねていくことが、リーダーシップを学ぶためには重要だと思われます。
部活は3学年で30~40人ほどの人数でしたが、ポジションごとに10人以下の人数で話すことが多かったと記憶しています。お互いの顔が見え進行役がいなくても会話が進むような少人数で学び、役割が固定化されるのを防ぐためいろいろな人と定期的に入れ替わることで、他者との関わり合い方から自分のリーダーシップスタイルを学ぶという方法が最適です。


現在、義務教育課程において、最小の組織単位はクラスです。首都圏では30~40人程度の集団をひとつのクラスとしています。リーダーシップを学ぶには、その単位でも大きすぎます。まして、それだけの大人数を1人の教師が面倒見ようなんて、到底無理なことです。
もちろん教師だけが子どもを教えるなんてナンセンスなことは言いません。民間NPOとかと協力することもアリです。


日本のリーダーシップキャパシティ(書籍参考)を高めるには、義務教育課程、遅くとも高校で「少人数で」「リーダーシップを体験でき」「小さな成功体験を積み重ねられる」ような仕組みが必要です。

私はまだ方法を思いついてはいません。最初は私立で導入されると思いますが、これを上手く仕組み化できたら、きっとその学校は競争から頭ひとつ抜けられるのではないでしょーか。

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