職務専念義務について考えてみる

職務専念義務とは

国家公務員法第96条及び地方公務員法第30条では、公務員の服務の原則として「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と規定される。さらに国家公務員法第101条第1項前段では、「職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」、地方公務員法第35条では「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」とそれぞれ規定されており、勤務時間中の職務専念義務は明記されている。
また特別職公務員においても自衛隊法第60条では「隊員は、法令に別段の定がある場合を除き、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職務遂行のために用いなければならない」と規定され、勤務時間中の職務専念義務が明記されている。また、外務公務員法及び裁判所職員臨時措置法の国家公務員法を準用する規定により、外務職員及び裁判所職員にも職務専念義務が規定されている。
なお、法令または条例に特別な定めがある場合は、職務専念義務が免除されることがある(職務専念義務免除、=職専免又は職免)。

Wikipediaより抜粋


要するに、勤務時間中は仕事だけやれ!ってことですね。あ、ちなみに筆者は予約投稿したり代休の日に書いてるので、更新日時が平日の昼間でも職務専念義務には違反していませんよ。名誉のため…


やや旧聞に属する話ですが、大阪市の職員が外回りの帰り道に10分程度喫茶店に寄ったことにより処分を受けました。他にも、勤務時間中のTwitterへの投稿が見つかったり、職場のパソコンから業務に関係ないサイトを見たりして、摘発される例も多々あります。

そもそもこの法律通りに職務を行うことは可能なのでしょうか?

・勤務時間中は私用・私語を行わない
・決められた休憩時間以外はタバコやお茶休憩できない
・他所から頼まれた仕事でも、職責に寄らないものなら行ってはいけない

しかし現実は、一日に何度もタバコ休憩に行く人はいるし、自販機にお茶を買いに行って、他所で談笑をして帰ってくる人もいます。仕事に関係ない私語は飛び交っているし、むしろそれでメリハリをつけて集中力を保っています。まず、昼休憩1時間だけで一日の集中力を保て!なんて方が無茶ぶりだと思います。テレビゲームをするときは1時間やったら15分の休憩を~とか昔よく叫ばれていたように、長時間何かに集中し続けるっていうのは体に悪いという認識を持たねばなりませんね。
…という観点からか、タバコやお茶に関してはそれほど気にされません。大阪市の件はやや行き過ぎという意見が大半を占めているようです。

それでも、パソコンやインターネット関連の注意文は何度も何度もきます。所詮は程度の問題で、お茶もタバコもTwitterも、違いはないと思うんですけどね。(会社のPCで私用をするのはセキュリティやら通信ログやらの問題で若干アウトかもしれませんが)

これっておかしいですよね?

昭和56年に「大成観光事件」の判決において、以下の様な意見がありました。

労働者の職務専念義務を厳しく考えて、労働者は、肉体的であると精神的であるとを問わず、すべての活動力を職務に集中し、就業時間中職務以外のことに一切注意力を向けてはならないとすれば、労働者は、少なくとも就業時間中は使用者にいわば全人格的に従属することとなる。私は、職務専念義務といわれるのも、労働者が労働契約に基づきその職務を誠実に履行しなければならないという義務であって、この義務と何ら支障なく両立し、使用者の業務を具体的に阻害することのない行動は、必ずしも職務専念義務に違背するものではないと解する。そして職務専念義務に違背する行動にあたるかどうかは、使用者の業務や労働者の職務の性質・内容、当該行動の態様など諸般の事情を勘案して判断されることになる。

裁判官の補足意見ではありますが『職務専念義務といわれるのも、労働者が労働契約に基づきその職務を誠実に履行しなければならないという義務であって、~中略~、必ずしも職務専念義務に違背するものではないと解する。』という記述があります。


成すべき職務を達成している限り、タバコもお茶も、Twitterでさえも、決して問題行動ではないように思えます。しかし、権力も大衆も、ネットへの書き込みをここぞとばかりに職務専念義務違反だと祭り上げます。ネットでのアルバイト炎上事件と同じように、可視化されるようになったから騒がれているだけなのではないでしょうか。

時代の過渡期には、いつも新しいものが批判を受けます。何が目的で何が成すことで、それに対して何が問題なのか、もっと考えたほうがいいんじゃないかと思います。